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「日本のいちばん長い日」(1967年)時代の変わり目に生き延びるには

大きな変化を前にしたとき、生き方や思想における構えが命取りになる。

疲れ果てて、どうしようもなくなって、それでも立って前に進むことが、生き抜くための唯一の道なのだ。

戦争の最後の1日を描いた「日本のいちばん長い日」

私が観たことのある戦時中を描いた映画は「二十四の瞳」「火垂るの墓」「この世界の片隅で」、そしてこの「日本のいちばん長い日」です。(他にもあるかもしれませんが思い出せない)

「日本のいちばん長い日」は、なかでも昭和20年(1945年)8月15日12時に玉音放送が流れるまでの1日(24時間)に起こったクーデター未遂、宮城事件を扱った作品です。

他の作品はどちらかというと戦時中の庶民からの視点で描いていますが、「日本のいちばん長い日」は政府や軍人、天皇の姿が描かれています。

それも当事者のインタビューなどに基づいており、可能な限り正確に描いたドキュメンタリー的な作品であり、かつサスペンスに満ちたエンターテイメントとして見応えのある作品でもあります。

終戦から20年程度なので実際に戦争を知っている俳優が演じており、それも東映35周年企画として監督が岡本喜八で当時のオールスター俳優陣が終結して作られた作品であることもまた名作たる理由の1つです。

三船敏郎、笠智衆、黒沢年雄、天野英世、加山雄三、最高の演技をしています。

庵野秀明がブルーレイ版の解説を書かれていますが、自身の作風に岡本喜八の影響を大いに受けていると言っています。

とにかく接写が多くて、迫力がすごい。声の張り方もすごい。1つ1つのシーンがしっかりと印象に焼き付きます。

今でも戦後何年という言い方をしますが、当時ですら「もはや戦後ではない」と言われていたようで、いつまでも引っ張ってきているのは誰なんだろうと思わされます。

終戦を阻止しようと起こされたクーデター未遂「宮城事件」

宮城事件とは、天皇が戦争をやめると決めたことに対して、本土決戦を最後の望みとしていた陸軍の青年将校たちがクーデターを起こして戦争終結を阻止しようとした事件です。

結果的に未遂で終わっているのですが、その最後のあがきが戦争の虚しさにも通じます。

一部の軍人にとっては、負け知らずの日本が負けを認めるということが本当に信じられなかったのです。

それは今の社会や教育が全否定されて明日からどんな社会になるか分からない状況を想像してみると分かると思います。

必死に抵抗する人と、諦める人、そしてそれを受け入れる人がいるということです。

日本が戦争をやめること、敗戦を認めることは、これまでの教育や作り上げた社会をリセットすることに等しかった。

それまで信じてきたものを失うということの苦しみは計り知れなかったと思います。

その苦しみは若い青年将校たちを現実逃避の妄想へと導きました。加えて軍人として育てられた彼らには行動力があるので、その妄想を武力を持って現実に変えようとクーデターを起こすのです。

ベテランの上に立つ軍人たちは、天皇の御聖断は承詔必謹(天皇が決められたことを確実に謹んで実行する)であり、むしろそれを望んでいるのです。

結果的にクーデターを企てた青年将校たちは誤った選択をしています。

天皇がこれ以上続けたら日本が滅んでしまうと危惧して終えようとした戦争でしたが、その変化に対する構えがなかったため、天皇が外務省に操られているとまで妄想が膨らみ、情勢を見誤ったのです。

軍人でも、状況を正確に見極めている井田は、クーデター側につくも不安だらけで、自分が選んでいる道が間違っていたことを悟り、結果的に生き残ります。

しかし、クーデターの中心人物である畑中や椎崎は、玉音放送を聞くことなく自殺します。

また陸軍大臣の阿南は、本土決戦を望む陸軍と戦争終結に動く政府の板挟みになります。大臣の任を全うするために本土決戦を諦め戦争終結に反対していませんでしたが、負けたら自決するという伝統的な思想には抗えず切腹します。

鈴木総理と阿南大臣は古くからの友人であり、天皇とも古くから付き合いがあったようで、この3人なら戦争を終結させられるという思惑の元、組閣された内閣でもありました。

この関係性を知っていると、映画の中での鈴木総理と阿南大臣のやり取りが切なく見られるようになります。

時代の変わり目に生き延びる秘訣

2019年の今、混沌としています。世界が混沌としているのか、もしかしたら世界はシンプルで、私自身が混沌としているだけなのか。

そんな風に感じている人は多いと思います。

一つ間違えば転落してしまうような不安を抱えながら毎日を過ごしています。しかし実際には別に転落も何もないのではないかという楽観的な自分もいる感じ。

そんな不安を抱えながら、やるべきだと思うことをやっています。

どんなときも時代の変わり目だとするならば、今を生き抜くためにどうするのがいいのか。

この映画、ないし戦争を終えた人たちから学べることは、自分を見つけてはいけないということだと思います。

自分を見失わずに絶望しないように生きていかなければ、まともに生きていけない。見失うような自分を持たずに生きる方が、生き延びる可能性は高くなるのです。

戦争のような大きな出来事でも、当時は生活の一部でした。なので今の生活の一部が、大きな出来事の最中だと言えます。

大きな出来事の中では、頭で考えることはできるだけ大局的に、行動するときはできるだけ実践的に、常に大きな構えで動き続けることが、自分を見失わなずに生き延びる秘訣だと思うのです。

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